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熊野川の達人

熊野の自然に生き方を学ぶ 三枝孝之さん

三枝孝之さん 三枝(さいぐさ)さんの主宰するNPO共育学舎では、農業体験などを通して、世代間の交流や、田舎と都市の交流ができる場を若者たちに提供されています。今回は、熊野の自然と人とのあり方について三枝さんにお話をお聞きしました。

三枝さんはIターンだそうですが?

「家が見つかったらそこで住もうと思っていたので四国でも九州でもどこでもよかったんですが、たまたま熊野川町に来たときに家が見つかったんで、ここに住み始めました。もともとは静岡の海辺に住んでいて、いつも波の音をきいたり、海に潜ったりという生活をしていました  

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NPO共育学舎について聞かせてください

「熊野で農業をやりはじめてみて、放棄されている農地があまりにも多いという現実に気がつきました。高齢化してもう農業ができなくなり、後継者がいないということが、大きな原因であるわけですよね。それがどんどん進行している。だから若いひとたちが、農業のこと、林業のこと、田舎のこと、自然のこと、そういうことを身をもって体験して、考えたり学んだりする場を提供したいと思って『共育学舎』をやっています。自分でできる範囲のことで、お互いに何かを学びあえたらいいなと思ってはじめました。」

具体的にはどういった活動をされてるんですか?

「自分が農業やってますから、基本は農業ですね。空いてる農地を使って農業のやり方を教えたりとか。あとは林業として間伐体験とかね。林業の場合は農業と違ってそう簡単じゃないんでほんとにさわりだけですよね。危険もともなうし。そんな風に一日過ごして一緒に食事して、中には泊まっていく人もいる。今廃校になった小学校を借りてね、そこを拠点にしてやってるんです。30人でも40人でも泊まれるんでね。泊まって酒でも飲みながら色んな話をすれば、田舎に対してまた違った印象を持ちますよ。」

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都会から来られる方は、どういう目的で体験しに来られるんですか?

「いろいろですね。田舎に住みたくて都会から来て体験して、こっちに住み着いたって人もいるし、都会にいながらたまに来るって人もいるし。学生なんかは何回も来てるうちに、1年間休学して田舎に住んでみようかってのもいるし。自給自足をしたいから、まず自給自足とはどんなものか体験したいという団塊の世代の人が来たりだとか」

 
   

三枝さんは自給自足で生活されてるんですか?

「米・小麦・野菜・油は自分のところで生産したもので、自給です。まぁ買うとしたら砂糖・醤油とかそういう調味料ですね。あとはガソリンとか。自分たちの食料に関して言うならば、食べる分くらいはそんなに難しくはないですよ。だれでも。まぁちょっと体力さえあれば」

 
   

でもやってみると大変なんでしょうね。

「そうですね、だからどっちかでしょうね。自給自足を夢物語で憧れみたいにとらえてしまい、そんなことできるわけないと言ってしまうか。もうちょっとありのままに、現実というか田舎のことを体験してもらうと、この程度でいいのかと感じてもらえるかだと思います。決してそんな大げさなものでもないし、かといってそんなに憧れるような素晴らしいことでもないし。特別な技術だとか知識だとか必要なくて、百姓つうのはだれでもできるんですよね。ほとんど自然の恵みなわけだから

 
   
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NPO共育学舎の活動はどのくらいの年代の方たちでやっているんですか?

「うちの特徴は、どちらかというと若者に焦点を合わせているので、協力してくれる人も20代・30代の人たちが多いですね。だからまぁ、1年間でも田舎で生活してみて、これだったらできると思えば田舎に住めばいいし、やっぱり都会がいいと思えば都会に帰っていけばいいし。ここで経験したことっていうのは都会に帰っても、決して無駄ではないし。ここで本人がいろいろ何を学んだか、それは本人の問題だけども、大学にいた1年間とここで生活した1年間では違うものが見えてくるし、違うものが身につく。それは都会に行ってもどこに行っても本人の財産になる。

今、地域で育った人間はみんな東京へ大阪へとすいとられていく。地域のためになにかしようという若者が育ってきていない。昔は自分たちにとって住んでるところが自分たちにとって土俵なんや、これが崩れたら自分たちの生きる場所がないんやということでしがみついて守ってきたから田舎っていうのも維持できてきたんでしょうね。それがもう完全に崩れてしまったので、もう一回そこを立て直していくためには、今までと違う価値観で田舎のおもしろさ、田舎の価値っていうものが若者の間に芽生えてこないと、優秀な人材はみんな東京に行ってしまう」

 
      
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共育学舎」でのその他の活動は?

「カヌー教室などをしています。川がどんなものなのかは、車で道路をぴゅーっと走ってもほとんど見えないし、わからないですよね。でもこうして川から眺めてみると、川ってのは、自然ってのはどうなってるのかよくわかります。それはもう私が言葉で百万回言うよりも一緒に一日下ったほうがいいですね。「熊野川の特徴的なのは、1年中下れるので四季折々の楽しみ方があるということでしょうか。同じ風景でも、紅葉や新緑の時期だったり、雪景色だったり、趣が変わって年中楽しめます」

 
   
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熊野に住んでから、熊野川に対して感じたことは?

「地元の人から昔の熊野川の話なんかを聞いてみると、ぼくが来たときにはもう、川としての機能が非常に低下しているような印象を受けました。川とは言いながら、なにかもう寂しいような。で、海としての機能が低下してる、山としての機能が低下してる、農地としての機能が低下してる。

自然の中で川の存在っていうのは、人間の体に例えるなら血管ですよね。血管がつまれば人間っていうのは、決して健康ではない。五臓六腑が動いてても病んでくる。だから、川がこうやって昔に比べて汚れてる、血管がつまってる、血液が汚れてる、ってことはもうそれだけ自然が弱ってる、信号を発してるということですよ。その原因は、人為的な問題だけじゃないんだろうけども、人為的な問題が非常に大きく作用して低下してる、ということは感じてますね。結局はだから、人間の考え方ですよね。だからこそ、若い人たちには田舎の現実、ありのままの姿を体験して、考え学んでほしいです。それでまぁ、都会に帰る人は帰って、都会から田舎を見たらまた見方も変わってくると思うんですよね。田舎のファンというか、そんな若者が1人でも2人でも増えてほしいです」

 
    

自然を実際に体験して、自然と人とのあり方について考えたり学んだりする場があるかどうかで、熊野川のこれからは大きく変わっていくのかもしれません。本日はどうもありがとうございました。

NPO共育学舎に興味を持たれた方はHPをご覧ください。
http://kyouiku-gakusya.itrobo.net/