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流域の"わ"


平成19年3月17日、熊野川の魅力をまるごと体感できるツアー「熊野川体感塾」がスタートします。充実したプラン内容は、3年をかけて「熊野川部会」という三重県の事業の中で検討されてきました。そこで、熊野川部会の担当者である紀宝町企画調整課の福嶋さんと鈴木さんにお話をお聞きしました。


主な活動内容
  川の古道の環境づくり
    川下りのための紀宝町浅里地区を基点とした周遊ルート調査や、熊野川の清流を復活させるための清掃活動、不法投棄予防策の検討などをおこないます。
  ふれあいの里づくり
    紀宝町浅里地区にて、交流拠点としての魅力づくりをしていくために、地域住民による自然や生活文化の案内人の育成をしています。また、「飛雪の滝キャンプ場」周辺にて、川下りや川沿いに残る古道を生かした交流イベントを開催。さらに、宿泊、休憩、食事などを楽しむ場として休校舎の活用を検討中です。
  歴史・文化の継承
    古道ルートや周辺資源の位置・名称などの不明点を調査研究し、地域の歴史文化の継承を進めていくために学習の場を設けて語り部を育成します。
  PR事業
    地域における交流空間づくりの意識を高め、来訪者を受け入れていく体制づくりをするために、取り組みを地域に伝え、来訪者へのPRをおこないます。
  先進地視察とモニターツアーの実施

-会発足の経緯と目的を聞かせてください。

熊野川とその周辺には、豊かな自然環境や歴史的・文化的資源があります。熊野川部会は、その豊かな資源を活用し、熊野川周辺を人々が集う交流空間として地域振興や観光振興につなげていくことを目的として発足しました。テーマは「『川の古道/世界遺産・熊野川』の魅力をまるごと体感できる交流空間づくり」です。また、アウトドア活動や名勝「飛雪の滝」周辺の散策などを楽しめる、紀宝町浅里地区の「飛雪の滝キャンプ場」を交流の拠点としています。これを事業化してやっていけるかどうか、熊野川部会でモニターツアーなどを重ねながら検討し、その結果「熊野川体感塾」というひとつの事業としてたちあげることになりました。


-熊野川部会にはどのような方々が参加されているんですか?

熊野古道の語り部さんや川舟の船頭さんなど、地域住民の方々によって構成されています。


-熊野川部会の方々がそのまま熊野川体感塾に参加されるんですか?

全員が参加するかというと微妙なところがあります。というのも、熊野川部会とは行政、県、町などがお金を出し合って、事業化に結び付けていけるかどうかを調べていく期間なので、当然県や町も参加しています。ですが「熊野川体感塾」は一事業体として運営していくので、行政としては活動に直接参加するということはせず、バックアップという形をとっていきます。


-熊野川体感塾はどのように運営されていくのですか?

熊野川部会の中で旅行会社を通さずに地元でやっていこうという結論が出たので、地元の7人の船頭さんをそれぞれ個人事業者として、受付などの業務は熊野川体感塾でまとめてやっていきます。旅行業者の資格をもっていない方たちなので、旅行業法の関係上、船頭さん個人がおこなう日帰りツアーということで運送業として運営していきます。


-ツアーはどのような内容ですか?

三反帆で熊野川の素晴らしい景観を楽しむ川下り、後白河天皇の宣旨(勅使)があまりの険しさゆえに引き返したといわれる「宣旨返り」での古道散策、夏にはエビかき、1年中できるかずら細工や竹細工の体験など、季節によって様々なプランを楽しめる川舟下りを中心としたツアーです。料金は昼食も付いて5000円です。


-川舟下りのルートについて教えてください。

浅里キャンプ場発着で蛇和田ノ滝まで上るルートなど、熊野川体感塾の川下りルートは基本的に3種類あります。和歌山県側にはない、エンジンを使わずに帆の力だけで走る三反帆では、ちゃぽちゃぽと水面を進んでいく音だけを聞きながら、時間を忘れる旅を体感してもらうつもりです。


-熊野川体感塾は冬場もおこなわれるんですか?

その予定です。川下りも1年を通しておこないますが、冬場は寒いので時間を他の季節よりも短くします。その分、自分で釣ったアユの塩焼きを食べたり、かずら細工の体験をしたり、丘にあがってできることをまぜていこうと思います。


-熊野川体感塾として事業を進めていく上での課題はありますか?

極力環境に配慮したことを行っていきたいので、景観自体もいじらないようにしたいんですが、人の使いやすさを考えることが自然破壊につながることもありますよね。たとえば、洪水などから地元を守ることを考えると、護岸をしなければいけない。けれど環境に配慮するなら現状を残す方がいいのかもしれない。地元優先か環境優先か、妥協点をどこに見つけるのかが難しい問題です。


-実際、護岸に関してはどうされたんですか?

一部整備をしようとしているんですけども、ブロックでなく地元の石に変えたり、もともとは50mつくるはずだったのを30mにしたり、といったことを会議しているところです。あと、訪れる人が増えた場合、トイレ、四阿、昼食場所など人的なものをどこまで整備するのか。環境に配慮するのか、見栄えに配慮するのか、お客さんに配慮するのか、何にどこまで配慮するのかもむずかしいですね。


-その他の課題はありますか?

仕事という面では、「もてなし」というイメージの営業を、サービス業としてやっていけるかどうかということですね。熊野川部会では、ベテランの船頭さんと話の内容などで差が出ないよう、古道や川などについて勉強会を開くなど、訪れる方をもてなすための勉強もしています。


-将来的な目標について聞かせてください。

地元雇用を含めた地域おこしになっていけばいいなと思います。たとえば地元の人が体感塾という仕事場で毎日舟に乗ってお金を稼げるというような。そこまでの状況になるということは、毎日何十人や何百人という方に来てもらえるイメージですよね。そしたら、浅里の集落での物産展だとか、喫茶店ができるとか、そういう事業展開を膨らませていけたらいいですね。特に浅里地区は過疎が進んでいて高齢化率がものすごく高いので、熊野川体感塾をきっかけとして活気のある地区になっていければいいなと思います。


-熊野川体感塾のスタートが待ち遠しいです。本日はどうもありがとうございました。