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かつては約100頭ものアカウミガメの上陸が確認されていた七里御浜 2004年に熊野古道伊勢路のルートとして世界遺産登録された七里御浜。しかし、この海岸の環境悪化により、かつて約100頭の上陸が確認されていたアカウミガメの上陸・産卵数が激減しているそうです。「熊野の自然を考える会」では、豊かな七里御浜を取り戻すため、様々な環境保護活動をされています。2007年1月12日、これらの活動により1995年に三重県「平成文化賞」を、2002年に環境大臣賞を授与されているこの会の代表、花尻さんにお話をお聞きしました。
-七里御浜の現状について教えてください。 海岸の侵食がひどいんです。それにともなって、アカウミガメの上陸産卵も減少しています。これは侵食によって七里御浜の海岸がひどく狭くなっていってるのと、海岸が痩せてぺったんこになってしまったせいですね。その他、海岸に外来植物が増えて、会員がその駆除に3年か4年かかりました。おかげで今では大分きれいになって、見違えるようになりました。そのような運動をしながら海岸の保護に取り組んでいます。自然環境保護といっても原因がどこにあるか究明して、原因のおおもとを元に戻すような工夫をしていかないと、表面だけやっていてもだめです。 -侵食の進行の原因は? 原因のひとつは堤防です。極端な場合でいうと、台風で波が来たとき、堤防のない自然海岸であれば、海浜植物群落まで来たころには波の力が弱くなって、海水は砂利の下に沈んだ状態になります。ところが堤防があると、堤防の前にある植物が全部波に持っていかれてしまうんです。私は、海岸を守るというのはわかるんですが、業者に仕事を与えるために堤防工事をするのはやめてくれと。堤防がなければ被害も少ないし、自然なままで保たれるけど、堤防が出来たためによけいに被害が出てしまいます。それでやめてくれたところもあります。それから、ウミガメは白い色が嫌いなんです。夜見たときに真っ白いものがあると、もう上陸しません。ですから、だいぶ年数はかかりましたけども、どういう状態がウミガメにいいのかということをちゃんと話しをして、堤防の色もねずみ色にしてもらいました。 -今の海岸はウミガメにとって安心して産卵できる状態ではないんですね。 以前の七里御浜の海岸には、5、60センチほど掘ると細かい砂の層があり、ウミガメはそこまで掘ると安心してその砂の層へ卵を産んでいたんです。ところが海岸が痩せたためにその層が全部流れてしまった。ウミガメは掘っても掘っても荒い砂ばかりだから、一晩中這いずり回った末に産まないで帰るカメもずいぶん多くなりました。力つきて砂浜の表面に産んでしまうウミガメもいて、その後、自分では掘った穴を砂で埋めているつもりなのか、卵を壊してしまったりするんです。隣に深い穴を掘って、壊れていない卵を移してやると海に帰っていきました。海岸の環境が悪いためにウミガメの上陸産卵が少なくなるし、産卵をしてもたいへんなエネルギーです。その原因はやっぱり人間ですわ。自然の知恵を考えない勝手な工事を続けて。堤防ができると、住民は喜びます。ところがしばらくしたら困ったな困ったな。熊野川にも問題があります。 -熊野川の抱える問題について聞かせてください。 熊野川の砂利採集をすると、下流に流れてくる砂利がなくなって困ることになると、以前にだいぶ大きな声でいいました。ですが、川の砂利がかなり堆積してるんで、増水すると堤防を越えて水が道まで来るんだと言われて。それでどうしたらいいか話し合いになりました。今熊野川の河口にかなり砂利が堆積していても、全部和歌山の方に流れていって三重県側には流れて来ないんです。
-逆に和歌山県側の海岸は砂利がたまって広がってきているんですね。 「熊野の自然を考える会」で、海流測定のために20個のヤシの実を熊野川の河口から流してみたら、ほとんどが和歌山県に流れつきました。やっぱり海流も熊野川の水も大部分は和歌山県側に流れているというのがわかったんです。土木工事だとか護岸だとか、いいと思ってやったことに、今自然が怒って人間が困ってるのです。自然のことも環境問題も一番よく知っているのは高齢者です。そういう人の持っている自然に対する人間の知恵をもっと聞くべきです。 -自然についてあらためて考えさせられました。本日はどうもありがとうございました。 |
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