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流域の"わ"

天然のウォータースライダー


「熊野ネイチャースクール森の国」は、熊野地域の活性化と、自然との共存共栄をめざす自然体験スクールです。代表の尾屋さんにお話をお聞きしました。


主な活動内容
  熊野古道ウォーク
    熊野古道にまつわる歴史、民話、動植物の話や登山技術などを教えながら熊野古道を案内します。半日から1日かけて歩く「1日ウォーク」と、1泊から4泊キャンプをしながらたっぷり歩く「宿泊ウォーク」があります。
  シャワークライミング
    渓流の道なき道を進み、行く手に滝や急流があろうとひたすら上流目指して進んで行く沢登りです。
  エコツアー
    那智原生林と四十八滝を巡るツアーや、日本オオカミ終焉の地である紀伊半島の狼街道を歩くツアーなど、他では体験できない熊野ならではのエコツアーです。
  体験教室
    7人以上のプログラムで、団体行事や学校行事などにおすすめ。山、川、海で遊ぶ冒険プログラムや農林漁業体験などがあります。

-発足の経緯と目的について聞かせてください。

私はもともとはUターンでして、東京で企画会社をやっていました。で、親父が死んだのでこっちに引っ越してきました。趣味が山登りなので、引っ越してきてから20年近く山の中でばかり遊んでいたのですが、この辺はおもしろいところがたくさんあるんですよ。だからぜひみなさんにもその楽しさを味わってほしいと思って。和歌山県には色んな資源があるわけですから、もう少しそれを活用して事業を起こせないかと思ったのがはじまりです。自然体験の他には、あと木工を少しやってきたんだけど、今は海外からむちゃくちゃ安い木や木工製品が入ってきているでしょう。そういうのは、基本的に我々には材料費も出ないわけだよね。とすると物を売るのはもう限界があるんじゃないかと思って、「作った物」を売るんじゃなくて「作る過程」を売るという発想に切り替えたんですよ。だから木工体験などの体験教室と、沢登りのように自然を楽しむプログラムとの両方、両輪の輪で始めたんですね。


カヌーで熊野川本流を下ります

-メインの活動は?

今一番お客さんが集まるのはシャワークライミングですね。あとカヌー。カヌーは熊野川本流を下ります。道の駅から浅里くらいまでですね。


-夏場たくさんの活動をされてるんですね。

冬場も古道ウォークとか色々やっていますよ。今年もぼちぼち予約がきてます。圧倒的に関西からが多いですけど、うちは東京から来られる方も多いですね。


-都会からこられた方の反応はどうですか?自然の中をカヌーで下ったりとか。

ものすごく感激して帰られますよ。あのへんは自然が一番残ってるところですからね。あとタイヤチューブを使ってやるゴルジュ突破ですね。すごい人気ありますね。

※渓谷の両岩壁が細く狭まった場所。フランス語の「のど」という意味から。


-ゴルジュ突破というのは最近のものなんですか?

僕らはゴルジュ突破ってね、泳いでいくのですよ。両岸が切り立ったところに、川が流れているところをゴルジュといいます。日本語では廊下と呼ばれているところですが、そうゆうところを泳いで突破するのです、もちろん流れがありますから流されますが、一人がザイルを背負って、とにかくがむしゃらに通過し、後の人はザイルで引っ張り上げて登っていく。ゴルジュ突破は、それを比較的やさしい場所で、だれでもできるようにしたものです。とにかく、ものすごくおもしろいです。毎年リピーターもいたりして根強い人気ですね。ただ時期が限られていて、15日くらいしかできないんです。増水すると断ります。安全最優先でやっていますので。


-熊野川流域以外の場所でも体験など行っているんですか?

那智の原生林のツアーとか色々やっていますよ。熊野川流域だと大塔川流域なんて素晴らしいところいっぱいありますね。大塔川に黒蔵谷っていう日本百名谷の一つに選ばれている谷があるのですけど、いい所ですよものすごく。いわゆる登山家だけが来る所なので地元の人はあまり近づきませんが、ここなんか抜群です。上流部に林道を付けていましたが、広大な天然林ですから、微生物を含め色々な生命体が残っている可能性があるので、今はは木を切るのをやめて、林道をつけるのもやめちゃったみたいね。


道の駅から浅里まで自然を満喫

-じゃあまさに道なき道を進んで行くというかんじなんですね。

そうですね。いいところですよものすごく。サンショウウオなんていっぱいいますよ。


-熊野川流域が今抱えていると思われる問題について聞かせてください。

まぁダムでしょうねぇ。でも僕は昔の新宮で増水で苦しんだという思いを知らないんで。みなさんはダムができたことで水害がなくなって、喜んだわけですからね。そういう面では大きいことでしょうけど、ただその代償っていうのがありますよね。砂利も減ってるし、海岸も浸食されてきているし。これはもうある程度しょうがない部分がありますかねぇ。あと熊野川について言えば、ダムの水が流れてきているから独特の色していますよね。うちに来る方であれがいい、きれいだっていう人もいるのですが、でもこの間東京から来た人で気がついた人いたなぁ、この水おかしいよねっていうんですよ。それでダムの水が流れてきているからこんな色してるんだって話になって。来られる方の受け取り方も色々ですね。
でもどうのこうの言っても、時代もあるし経済もあるし、ダムが一概に良い悪いっていうのは言えないですね。電気の一部が使われていたり、その恩恵を受けてるわけだからね。マイナス面もプラス面もあると思います。


-他には林業の衰退や山の荒廃という問題もありますね。

それもありますね。山登りをしていますと、かつての田んぼの跡がたくさんあるんですよね。棚田ね。棚田があったっていうことは、そこに水が流れていた、ということでしょう。それが全部枯れてしまっていて、全く流れていません。ということは、植林してしまったら確実に水量が減るということですね。


-保水能力がないっていうことですね

全くないですね。あと熊野古道沿いにはたくさん茶屋跡があるけど、茶屋跡っていうのは絶対水が必要なところだから、山水が確保できたってことですよね。そういうところもやっぱり水の跡はないですね。それだけ保水力が落ちているっていうことは確かだね。そういう意味で熊野川の水流はずいぶん減ってるのかもしれないね。ダム関係なしでもね。


一番人気はシャワークライミング

-何か一緒に活動できることがあればやりたいなと思っているんですが。

はい、いいですよやりましょう。ただ、うちの場合は基本的にはボランティアではなく、ビジネスとしてやっています。僕らが今やっていることっていうのは、将来は絶対メインになってくると思うんで。この間モンベルさんともそういう話になったのですが、彼らもカヌーだとかそういうイベントを、絶対安くはやらないそうです。なぜかというと、インストラクターがいるからグッズが売れるわけで、そのためにもインストラクターを育てないといけない。だから、とにかく一回だけ人数を集めればいいというようなイベントはやらないのだと言っていました。

-ほんまもん体験倶楽部の刀根さんも同じようなことを言っておられました。ボランティアでなく商売として成り立つ形でやらないと、ガイドする側もボランティアという意識でなかなか真剣に取り組まない部分もある。だから料金もきちんともらい、組織もちゃんとした形をとるんだと。そしてそれが運営の継続につながっていくと言われていました。

モンベルさんとお話した時もそういうスタンスでやっているのだと感心しましたし、おもしろいなと思いました。僕はそういうスタンスでやっていますが、何か一緒にできることがあればやりましょう。


-熊野の自然をこれからどう保護し維持していくべきか、熊野ネイチャースクール森の国での自然と触れ合う体験の中から学べるのではないでしょうか。本日はどうもありがとうございました。