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ノボリ(サツキマス) 川舟やカヌーなど熊野川にはいろいろな遊び方がありますが、川岸で静かに釣りを楽しむ人々の姿もよく見かけます。熊野川にてノボリフィッシングコンテストを開催し、また、ノボリの幼魚の放流もおこなっている「熊野川ノボリを育てる会」の代表・大植さんにお話をお聞きしました。
-まず「ノボリ」とはどういう魚なのかおしえてください。 ノボリとはサツキマスの地方名で、熊野川特有の呼び方です。サツキマスはアマゴの降海型のことで、海へ下ってサツキの花が咲くころに遡上してくるのでサツキマスといい、また、海から上ってくるのでこのあたりでは「ノボリ」といわれています。僕は物心ついたときにはもう釣竿を持っていたんですが、ノボリを知ったのはルアーが普及し始めた中学生の頃で、偶然釣って「これはなんだ!」と。そしたら地元のおじさんがノボリという魚だと教えてくれたんです。で食べたらおいしいし。遡上してきたノボリは瀞峡や熊野川町の支川などで産卵しているようです。あと僕も本で読んだんですけど、海へ下るノボリの90%以上がメスで、しかも体の小さい弱いやつが縄張り争いに負けて海へ下っていくそうです。海から遡上してくる川魚は寄生虫も少ないので僕はお造りにして食べています。 -会発足の経緯は? 釣り好きの集まりなんですよ。長良川の河口堰でサツキマスが遡上できないんじゃないかということが問題になって、そのときサツキマスなら熊野川にもたくさんいるよということになったんです。ちょうどルアーの釣り人口が増えだした頃でしたね。それでノボリを放流したいという気持ちがまずあったので、なにか釣りの大会を開催して、集めた会費を放流の資金にできないかと思ったことから発足しました。
-そのフィッシングコンテストも今年(2007)で10回目になりますね。 そうですね。ちょうどタイミングがよかったんですが、はじめて3回目くらいに、南紀熊野体験博がありまして、そのプレイベントとしてフィッシングコンテストをしてくれないかという話を熊野川町からいただきました。その担当者の中に釣り仲間がいて、スポンサーをたくさん集めてくれたり、ダイワという釣具のメーカーの有名なチェスターの方に講演をしていただいたりすることができました。それである程度人を集められたので、その方たちがリピーターになってくれて毎回35名くらい来てくれるんですよ。景品は釣具のメーカーがスポンサーとして出してくださるので、集めた会費を全部放流の資金に回しています。 -コンテストは熊野川のどのあたりでおこなわれているんですか? ダムの下流から河口までの熊野川・北山川本流域でやっています。大会本部は熊野川行政局近くの三和大橋の下に設置します。 -どのくらいのノボリを釣れば優勝できるんですか? 前回の優勝者で重さが400g前後、大きさにして37cmくらいだったと思います。多い年で8本くらい上がったこともあるんですけど、だいたい毎年3本くらいですね。4、5、6月と毎日通う人でもシーズンで20匹くらい釣れたらすごいなというくらいですから。もともと数が少ないんでしょう、たぶん。
-コンテストで集めた資金でノボリの稚魚を買うということですね。 稚魚というか、アマゴの幼魚ですね。アマゴの中でもウロコの出てくるやつを新宮市にある近畿大学水産研究所から買っています。僕らの力では毎年1000匹買うのが限界ですね。その幼魚についているアブラビレをハサミでカットするんですが、アブラビレは再生しないので、海へ下ったあと成長して上ってきても自分たちが放流したものだとわかります。
-放流した1000匹のアマゴすべてが遡上してくるんですか? いや、30匹前後ですね。自然の回帰率だと0.2%か0.3%くらいといわれているんですが、「熊野川ノボリを育てる会」ではある程度大きくしてから放流するので、遡上してくるのは全体の3%くらいです。 -熊野川には天然のアマゴも多いんですか? 昭和30年代後半くらいから漁業組合がアマゴを各河川に放流しているじゃないですか、だからどれが天然かというのはもう区別がつかないと思います。見た目もまったく同じように見えるので、僕も違いはわかりません。 -大植さんはノボリ以外にどんな魚を釣られるんですか? スズキを釣ったり、あとウナギを捕ったりもしますね。でもバス釣りは全然やらないです。というのも、ブラックバスは外来種なので。ノボリはもともと在来種で生態系に影響しないということで放流しています。あと、ノボリとよく似たニジマスという魚がいて、これの放流はしてくれないんですか、と釣り好きな人から言われることがあるんですけど、ニジマスは北米原産で生態系におそらく影響が出ると思うのでしません。 -最近は熊野川にもブラックバスがいると聞きますが。 本流にも下流の方にもいっぱいいますよ。流れのはやいところでなくても、ちょっとした淵になるとブラックバスは繁殖しますからね。上流の方ではバス釣りのお客さんを相手にした貸しボート屋など、ブラックバスが町おこしに役立っていたりもしますから一概には言えないですけど。バス釣りの間では池原ダムとか超有名ですしね。 -熊野川で昔に比べて変わったと思われることは? ヌマエビという生き物は夏になると海から遡上してくるんですが、僕の小さい頃は夏の夜に川岸にずーと列をなしていて、「もどり」を仕掛けておくと毎晩米の枡で3、4升はとれたんですよ。それが今は一晩で紙コップ1杯とれるかとれないかという状況なので、特定できませんがやっぱり何かの影響があるんでしょうね。とったヌマエビは佃煮やかきあげにして食べていましたよ。 -熊野川の魅力は? 釣りで高知の四万十川や福井の九頭竜川にも行きましたけど、やっぱり熊野川ってきれいですよね。今はもう廃校になってしまったんですが、僕が通っていた浅里の小学校は生徒数が16人くらいだったので野球もできませんでしたし、遊ぶ場所といえば夏は川、冬は山でした。だから熊野川という存在はほんとに身近でしたね。親父が子どもの頃には、交通の手段として川舟が各家庭に一艘はあったそうです。 -「熊野川ノボリを育てる会」のこれからについて。
熊野川をもっとノボリの釣れる川にしていきたいです。放流量も5000匹くらいに増やせたらいいなと思います。ダムは悪いという見方をされますけども、治水という面では必要なものだと思うし、財産や生命を守ってくれるものでもあるので、どうやってうまく共存していけるかということを僕らの会でも考えていかなければいけないですね。今できる範囲での近道はやっぱり放流なんですけど、放流をやめてしまったら少なくなってくるというのではね…。自分の中では10年を区切りにしようと思って始めたんですけど、今の状況ではまだやめられないなと思っています。ぜひ4月くらいに体験しに来てください。 -ぜひ一度釣ってみたいです!本日はどうもありがとうございました。 |
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